「走るのが遅い」「スタミナがない」「アジリティがない」…などサッカーをやっていてこんな悩みありませんか?
『サッカーやっているんだけど、走るのが遅くて…』
『運動神経がなく、スキップやバランスなど体の使い方がうまくできなくて…』
『持久力がなくて、試合ではすぐにバテバテ…』
『サッカーやっているのに、何でうちの子は〇〇なんだろう?』と。
25年以上教員をしてきて、たくさんの子どもと関わってきましたが、「自分の体を上手く動かすことが苦手」「体幹が弱くうまくバランスがとれない」子どもが増えてきています。
現在「習い事」や「ゲーム・スマホの普及」、「安全面」などさまざまな要因から、外遊びをする子どもが減ってきています。外遊びの経験が不足している子どもたちは、「体を操作する力」や「バランスをとる力」などが足りなくなっています。
これらの力は、小さいころから「外遊び」を通して得ることができます。
特に、外遊びの中でも「鬼ごっこ」はサッカーに必要なたくさんの要素が詰まっています。
我が家の息子は、「とにかく鬼ごっこ大好き!」です。学校の休み時間や、家に帰ってからも公園で時間があったら「鬼ごっこ」をしています。
”休み時間に鬼ごっこをするために学校に行ってる”と言ってもいいぐらい、とにかく「鬼ごっこ」が好きですね。
鬼ごっこは、「つかまえるために」「つかまらないようにするために」、走って・逃げての連続です。そこで得られた「走力」や「敏捷性」などが、今の息子のサッカーに大きく役立っています。
つまり、「鬼ごっこ」は、サッカーに通ずる『最強の遊び』とも言えるでしょう!
ここでは、「鬼ごっこがサッカーに役立つ理由5つ」と、チームやスクールなどで実践している「鬼ごっこの要素を取り入れた練習メニュー4つ」について解説します。
- サッカーをやっているけど、どうしたら走るのがはやくなるかな?
- 持久力がなくて、どうやったらスタミナがつくのかな?
- サッカーをやっているのにもう一つ敏捷性がなくて、もっと運動神経が良くなってほしいなあ…
- 子どもにこれからサッカーをやらせようと思っているけど、小さいうちにやっといた方がいいことあるかな?
という人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
鬼ごっこを通して、遊びながら・楽しみながらサッカーに役立つ力が自然と身につき、思い切ってプレーできる土台作りができるといいですね!
「鬼ごっこ」がサッカーに役立つ理由5つ!
鬼ごっこは、子どもの成長に効率的な遊びの一つです。
追いかける役と逃げる役を決めて走り回るというシンプルなルールなので、子どもにもわかりやすいでしょう。そして、逃げ回るスリルを感じながらみんなで楽しむことができます。
鬼ごっこが子どもにもたらす効果は、基礎体力が向上することです。長時間走り回ることで、体力や脚力が鍛えられ、ルールを理解する力も養われます。
サッカーも、ボールを奪う人(=鬼)と奪われない・かわす人(=逃げる人)がいて、その対人がピッチの中で繰り広げられます。
その中で、つかまえたり、逃げたりする時の走力やステップ、駆け引きなどは、まさしくサッカーで必要な力と同じです。
外遊びの中でも「鬼ごっこ」はサッカーに必要なたくさんの要素が詰まっています。
先程も言いましたが、「鬼ごっこ」は、サッカーに通ずる『最強の遊び』と言えるでしょう!
実際に鬼ごっこから得られるどのような力が、サッカーに役立つのか解説していきます。
- 対人感覚
- 駆け引きする力
- 人とスペースを認知する力
- 走力(スプリント力・瞬発力・持久力)
- 敏捷性(アジリティ)
今回は、「鬼ごっこ」を通してサッカーに役立つ力を5つ選びました。
遊びながら、楽しみながら自然にサッカーに役立つ力が身につく「鬼ごっこ」は、やはり最強のトレーニングですね!
対人感覚
鬼ごっこは、「相手」がいて”逃げる” ”追いかける”という動きを互いに行います。
「逃げる」「追いかける」の動作中は、互いにそれぞれの動きや状況を必ず見ています。鬼は逃げる相手を、逃げる方は鬼の動きをずっと見ています。
このように、鬼ごっこでは「対人感覚」が養われます。
サッカーも同様、常に相手を意識してプレーしなければいけません。
鬼ごっこに例えると、相手がいて、パスやドリブルでかわす(攻め)=”逃げる”にあたり、相手のボールを奪う(守り)=”追いかける”にあたります。
サッカーでも鬼ごっこでも、常に相手がいることを意識して行動する必要があります。どの立場であっても、『自分はどうするのか?』という考えをもって動かなければいけません。
そういった意味で、鬼ごっこの対人関係はサッカーと似ている状況がたくさん生まれ、「対人感覚」が養われます。
鬼ごっこもサッカーも、常に人の動きを見てどうするのかを考えます!この対人の感覚はサッカーにおいてとても大切になります。
駆け引きする力
鬼ごっこでは、「どういう作戦でつかまえるのか?」「どういう作戦で逃げるのか?」を考えながら行います。
作戦とは、サッカーで言う”戦術”みたいなものです。何も考えず好きなように動いていては戦術になりません。常に相手を意識し、考えながら”個人”で、”グループ”で駆け引きをします。
鬼が一人の場合は、1 vs 1の駆け引きが行われます。「どっちにどのように逃げるのか?追いかけるのか?」。
また、鬼が複数いるような場合は、複数 vs 複数での駆け引きが行われます。グループを利用して逃げたり、追いかけたりと駆け引きの中で作戦を考えます。
このように鬼ごっこでは、常に相手の逆をとって逃げたり、相手の動きを読み取ってつかまえたりします。
つまり、鬼ごっこでする「駆け引き」はサッカーに役立つ力になります。
子どもたちにとって「どうしよう?」と考える作業が鬼ごっこにはたくさん詰まっていて、サッカーの駆け引きする力につながります!
サッカーは「個人」「グループ」で攻守の駆け引きの連続です。鬼ごっこでする「駆け引き」も同じで、サッカーに役立つ力になります!
人とスペースを認知する力
鬼ごっこでは、上記で説明した「対人」や「駆け引き」を行いながら、「人とスペース」を常に確認しています。
「どこに逃げようか?」「どこでつかまえようか?」と、考えながら鬼ごっこをします。「顔を上げ」、そして「相手(鬼)や味方」と「空いた場所(スペース)」を読み取っています。
サッカーではよく、『顔をあげよう!』『まわりをよく見よう!』といった声が聞かれますよね。それは、周りの状況を的確に確認し、把握することが大切だからです。
また、試合中では相手だけでなく味方の位置も把握し、少しのスペースを探したり、作り出したりしながら動かなければいけません。
つまり、鬼ごっこで行われている「人とスペースを認知」する作業は、まさしくサッカーでも同じように使われる大切な力と言えます。
鬼ごっこで培われた「人とスペースを認知する力」は、サッカーにおいてとても大切な力になります!
サッカーでは、「対人」・「駆け引き」が行われているとき、常に「人とスペース(空間)を認知」しています。その力は、鬼ごっこを通して得ることができます!
走力(瞬発力・スプリント力・持久力)
鬼ごっこは、追いかける役と逃げる役がいて、シンプルに走り回る遊びです。
ただ走ると言ってもさまざまな「走り」があります。
例えば、鬼が来ると一瞬でスピードを上げて逃げなければいけません(瞬発力)
また、追いかけられているときはつかまらないようにスピードを上げて逃げないといけません(スプリント力)
*その逆も言えます
それが連続で繰り返され、長い時間走り続ける必要があります(持久力)
このように鬼ごっこはサッカーと同じで、「瞬発力・スプリント力・持久力」が必要とされる遊びです。
たまに、つかまえるまで永遠に追いかけ続ける子どもがいますね。
追いかける子どもも、逃げる子どもも心肺機能が高められ、相当負荷の高いトレーニングになっています!
しかし、鬼ごっこは「厳しいトレーニング」ではなく遊びです。楽しみながらサッカーに必要な「走力」が身につくので、サッカーに通ずる『最強の遊び』と言えるでしょう。
「にげる」「追いかける」を繰り返す鬼ごっこは、遊びながら・楽しみながら「さまざまな走力」が養われます!
敏捷性(アジリティ)
鬼ごっこは、さまざまな「走力」に加え、ステップワークなどの「敏捷性」も必要です。
「敏捷性」を簡単に言えば、動作の「すばしっこさ」ですね!
英語では「アジリティ」という言葉で、馴染みのある人もいるかもしれませんね。
サッカーにおける敏捷性とは、ダッシュやドリブルの加速、減速、方向転換、急ストップ、急発進といった要素になります。このような動きは、攻守ともに必要になってきます。
鬼ごっこも、鬼から逃げる動きや、追いかける動きなどは、さまざまなステップワークを踏んだり、加減速や方向転換などを行ったりします。
つかまりそうになっても、さっとステップを踏んでかわすのがとても上手な子どもがいます。なかなかつかまえるのが大変ですね。体をスムーズに動かす力、つまり敏捷性に長けているわけですね。
うちの息子は、小さいころから鬼ごっこをしまくっていたので、そのおかげで走力とこの敏捷性がめちゃくちゃ身についた思います。
この力は、ボールを足で扱いながらするサッカーにも本当役立っています!
つまり、鬼ごっこもサッカーも「敏捷性の連続」と言えますね!
鬼ごっこを通してサッカーに必要な走力(瞬発力・スプリント力・持久力」や、ステップワークなどの「敏捷性」が養われます!
鬼ごっこで相手をかわすステップワークなどの敏捷性は、サッカーで相手をかわしたり、方向転換したりするさまざまな力のもとになります!
サッカー「鬼ごっこ」練習メニュー4選!
「鬼ごっこ」には、『走り回る走力』『相手をかわすための敏捷性や駆け引き』『周りを見る認知力』など、サッカーにとって大切な要素がいっぱい詰まっていることを解説してきました。
そのため、実際にいろいろなサッカーチームやスクールでは、ウオーミングアップなどで「鬼ごっこ」を生かしたトレーニングが導入されています。
また、学校でも体育の時間のウォーミングアップや休み時間などでも行われており、子どもたちは「キャーキャー」と大声をあげながら楽しく体を動かしている風景を見かけます。
ここでは、実際にサッカーチームやスクールなどで取り組んでいるサッカーに通ずる「鬼ごっこ」練習メニューを4つ紹介します。
なお、対象年齢や人数、コートサイズなどは子どもの実態や状況に応じてアレンジしてください。でも「鬼ごっこ」は高学年でも、大人になっても永遠に楽しい遊びでなので大丈夫です!
1対1の鬼ごっこ
1対1の鬼ごっこのよさは、少人数でもできることです。2人いれば成立しますね!
相手は一人だけ。その状況で、お互いの「駆け引き」や「判断力」「アジリティ」「スプリント力」「瞬発力」「コーディネーション能力」など、さまざまな力を楽しみながら簡単に養うことができます。
① じゃんけん鬼ごっこ
▶重点
リアクション・クイックネス・コーディネーション能力・瞬発力・スプリント力
▶準備
- 20~30mの距離でマーカーを置く。(センターラインも目印として置く)
- 2人組で、隣とぶつからないように人数を調整して、センターラインから約1m離れて並ぶ。
▶方法
じゃんけんに勝ったら逃げて、負けたら追いかける。
▶進め方
- 立った状態から
- 座った状態から(両ひざを伸ばす)
- うつ伏せで顔を合わせた状態から
▶バリエーション
- 横向きに立った状態から
- 横向きに座った状態から(両ひざを伸ばす)
- 横向きでうつ伏せにして顔を合わせた状態から
- ボールを使ってドリブルしながら行う
▶コーチングポイント
- 素早く反応して動き出す(視覚・追う、逃げるの判断)
- 最後まであきらめずスプリントを行う
- 1回終わったら、呼吸を整えながらゆっくり戻る
- モチベーションを維持するために、様子を見て相手をどんどん変えていく
② ドリブル鬼ごっこ
▶重点
視野の確保・駆け引き・対人感覚・俊敏性(クイックネス)・敏捷性(アジリティ)・ボールコントロール
▶準備
- カラーコーン2つを2mほどの間隔で置く(バーはあればでOK)
- 互いに向かい合って位置する
▶方法
どちらかが鬼になり、カラーコーンの周りをまわって追いかける。
▶進め方
- 互いに向かい合う
- 鬼はカラーコーンの周りをまわって追いかけタッチする。(バーの中を通ったり、遠くに逃げたりするのはダメ)
- タッチすれば攻守交代する
- 30秒など時間制限する
- タッチされた、タッチできなかったら「ジャンプ3回」などを行う
▶バリエーション
- カラーコーンの間隔が近いほどつかまりやすくなるので、徐々に近くしていく
- ボールを入れてドリブルをしながら鬼ごっこをする
▶コーチングポイント
- 素早く反応して追う・逃げる。(追う、逃げるの駆け引き)
- 相手をよく見て、素早いターン・ステップを行う
- ドリブルはスピードの中で、正確なボールコントロールを行う
- 1回終わったら、呼吸を整える
- 様子を見て相手やカラーコーンの距離を変えていく
グループ鬼ごっこ
グループでの鬼ごっこになると、1対1の鬼ごっこと違って多方面に視野を広げ、よりリスクマネジメントが必要になってきます。
また、コミュニケーションを取り合い、協力する要素も加わってきます。チームで作戦(戦術)を立て、どう攻略していくか考えるようになると、よりサッカーの戦術的な実践に近づくトレーニングにつながります。
① 3色おにごっこ(グー・チョキ・パー)
▶重点
視野の確保・状況判断・駆け引き・チャレンジ&カバー・危険察知能力・コミュニケーション力・俊敏性(クイックネス)・敏捷性(アジリティ)・スプリント力
▶準備
- ビブス3色
- サークル(円)*線を引けなかったらマーカーなどでグリッドをつくる
- それぞれのサークルの間隔は、20m~30m(人数による:少人数ならもう少し短くする)
▶方法
3色にグループ分けし、お互いに追いかけ、逃げるの関係で鬼ごっこをする。
▶進め方
- 3色にグループを分ける。(グー・チョキ・パー)*名前はなくてもOK
- グー(赤)はチョキ(黄)を、チョキ(黄)はパー(青)を、パー(青)はグー(赤)をつかまえる *色は例
- つかまれば、敵の安全地帯(サークル)に連れていかれる
- 味方は、安全地帯に閉じ込められた仲間を助けに行ける(タッチすればOK)
- 自分の安全地帯にいればつかまえられない
- 1つのチームが全員つかまったら終了(結構終わらないので10分間など時間を指定して区切るのもOK)
▶バリエーション
- ドリブルして行う
▶コーチングポイント
- 追いかけながらも追われないように注意する(周りを見よう!)
- 味方とコミュニケーションをとりながら進める(攻守ともに)
- 安全地帯にずっといないで「チャレンジする」
- ドリブルコントロール・ターンを上手く使う
② 線おにごっこ(線おに)
▶重点
視野の確保・状況判断・駆け引き・コミュニケーション力・俊敏性(クイックネス)・敏捷性(アジリティ)・スプリント力
▶準備
- ビブス1色(おに用)
- サッカーコートライン
- フットサルコートが適当(人数にもよる)
- 人数:10人~20人(鬼は2~4人ほど)*鬼が多すぎるとすぐにタッチされてしまう
▶方法
コートの線上のみを使って、逃げたり、追いかけたりする。
▶進め方
- 線の上のみを使って鬼ごっこをする
- タッチすれば鬼は交代する
- 時間を制限(3分~5分程度)し、タイムアップで残った鬼は「ジャンプ」などをする
- 線から線へのジャンプはなし
▶バリエーション
- 鬼の数をはじめは少なくして(2人とか)、徐々に増やしていく(3人~4人)
- ドリブルして行う
▶コーチングポイント
- 逃げる先の状況を捉えておく(鬼に挟まれないように)
- 鬼どうしでコミュニケーションをとりながら進める(2対1の状況を作る)
- ドリブルコントロール・ターンを上手く使う
「鬼ごっこ」を生かしたウオーミングアップはたくさんあります。どれも楽しく、サッカーに必要な要素が含まれた最適なトレーニングですね!
今回はウオーミングアップで使える「鬼ごっこ」を4つ紹介しました。
今後、J下部やトレセンなどでも実際に行われている「鬼ごっこ練習メニュー」を一覧にして作成する予定です。どの年代・チームでも楽しみながら取り組める内容になっています。お楽しみに!
まとめ
昔と違って、子どもが外遊びをすることが難しくなった現代。
その結果、子どもたちから「体を操作する力」や「バランスをとる力」などを奪っています。
サッカーをやっている保護者の悩みで、『何でうちの子は〇〇なんだろう?』『たくさん練習してるのに伸びないなあ』と考えることがあります。
すべての悩みは、たくさんサッカーのトレーニングを積み重ねるだけでは解決できません。
そんなときは、「日常生活」にも目を向けて見てください。
特に、外遊びの「鬼ごっこ」からは、サッカーに通ずるたくさんの力を養うことができます。
- 対人感覚
- 駆け引きする力
- 人とスペースを認知する力
- 走力(スプリント力・瞬発力・持久力)
- 敏捷性(アジリティ)
小さいうちはボールを使った練習もいいですが、「鬼ごっこ」もたくさんしてください!
遊びながらするので「主体的」にいろいろな力を自然と学べます。知らず知らずにサッカーに必要な大切な力が身につきます。
「鬼ごっこ」は、サッカーに通ずる『最強の遊び』です!
また、「鬼ごっこを生かしたトレーニング」も4つ紹介しました。
どれも特にウォーミングアップには最適で、楽しみながら「身体も心」もウォームアップできます!
バリエーションでボールを扱うことで、楽しみながら「技術的」な部分もトレーニングできます。
ドリル的な技術練習も大切ですが、「遊び」を通して、楽しみながらモチベーションを維持して取り組める技術練習は魅力的ですね!
今回の記事が、少しでも参考になればうれしいです!
「鬼ごっこ」を通して、「走力」や「敏捷性」、「俊敏性」などサッカーに大切な力を養うことができます。「鬼ごっこ大好き!」な子どもがたくさん増え、そこで得た力をサッカーに生かして活躍してほしいですね!