子どもの"主体的に考える力"【メタ認知能力】の高め方3つ!

「頭がいいって何?」

「そもそも"考える力"ってどんな力?」

「子どもたちの"考える力"はどうすれば育つの?」

『子ども自ら"考える"ことが大切です!』という言葉を聞いたことがあると思いますが…

そもそも"考える力"っていったいどのような力で、どのようにすれば身につけられるのかを知る必要があります。

そこで、ある一つのキーワードにたどり着きました。それは【メタ認知】です!

ビジネスやスポーツ界などで「できる人」「成功する人」は、この【メタ認知力】が高いと言われています。

わたしは長年教育現場にいましたが、文科省から「主体的・対話的で深い学び」が求められており、それには「見方・考え方」が極めて重要になってくると記されています。

つまりこの「見方・考え方」こそが『メタ認知』と言っていいのではないでしょうか。

サッカー選手の本田圭佑さんは、選手として、またビジネスパーソンとしても成功を収めており、その理由の一つにこのメタ認知力が高いと言われています。

そこで、この記事では、

  1. 「メタ認知力」ってどんな力?
  2. 「メタ認知力」が高まるメリット
  3. 幼児期における「メタ認知能力」を育むための親の関わり方5つ
  4. 「メタ認知力」を高める方法3つ

について解説します。

「メタ認知」の意味や高め方を知り、子どものうちから「メタ認知能力」を身につけていくことによって、サッカーでも学習などにおいても大きな効果を得ることができるでしょう!

目次

メタ認知とは?

「メタ認知?」一度は聞いたことのあるような言葉だけど…いったいどういう意味?

「メタ」…高次の・より高次の視点で

「認知」…ある対象を知覚・判断・解釈する心の働き

「メタ認知」…自分の認知活動を客観的にとらえる⇒『自分が認知していることを認知する』こと

うん?

もう少しかみ砕いて言えば、「自分の心の中に"もう一人の自分"がいる」って感じです。

例えば、サッカーの本田圭佑選手がイタリアのACミランに移籍したときの会見で、

「私の心の中の"リトル・ホンダ"がACミランだと答えた」

この"リトル・ホンダ"こそが、ここで言う『メタ認知』と言えるでしょう。

つまり、

メタ認知能力とは、自分の思考や感情を客観的に把握する力

"リトル・ホンダ"のように、「もう一人の自分(より高次の)の視点から、自分が考えていることや感じていることを捉える力」だと言えます。

この「メタ認知」は、自分を客観的に認識し、適切な目標設定や課題解決ができるスキルとして大切な力です。

トップアスリートや有名な起業家、インフルエンサーやビジネスで結果を出している人の話を聞くと、「どうしてそんなことまで考えられるんだ!」といつも感心させられます。

この「考えの広さや深さ」こそが『メタ認知』であり、"考える力の本質"だと言えます。

この「メタ認知」には、大きく分けて【メタ認知的知識】【メタ認知的活動】の2つがあります。

「メタ認知」とは、一言で言えば『自分を客観視する力』で、"考える力の本質"です!

メタ認知的知識

「メタ認知的知識」とは、

日常経験や人から教えられることで"気づき学習"していくもの

メタ認知的知識は、メタ認知に関わる知識全般を指す言葉で、「人」「課題」「方略」に関わる3つの知識に分けられます。

「人に関する知識」…自分の「人としての認知特性」に関する知識

「課題に関する知識」…「経験から得られた課題」そのものに関する知識

「方略に関する知識」…「課題を解決するための具体的な方法」についての知識

例えば、

「自分は左足のキックは苦手だ」「ドリブルは得意だ」「集中力は高い」といった、人としての認知特性に関する知識が『人に関するメタ認知的知識』です。

「大事な試合になると緊張してしまいパフォーマンスに影響する」「試合の後半は疲れからミスが出やすい」といった、経験から得られた気づき・課題が『課題に関するメタ認知的知識』です。

「複数で対応されたら味方を使った方が攻略できる」「雨の日の試合はよりシンプルなプレーを心がけた方がよい」といった、課題を解決するための具体策についての知識が『方略に関するメタ認知的知識』です。

さまざまな【経験】を通して、「自分の特性・課題」「そのものの特性」を認知し、「課題解決に向けての具体的な方法」を考えるための知識が『メタ認知的知識』です。

「メタ認知的知識」は、日常で経験したことや、人から教わったことを通して、「自分のこと」「周りのこと」「課題」「具体的方策」などの【知識】を言います!

メタ認知的活動

「メタ認知的活動」とは、

自分の認知状態に気づき(モニタリング)、目標を設定、修正する(コントロール)こと

「メタ認知的モニタリング」…自分の認知行動・状態を観察する

「メタ認知的コントロール」…自分の認知行動や戦略の改善を試みる

認知は正常か?適切な戦略がとれているかといった情報を、認知から取得します。

「ここがよくわからないな。どうしたらいい?」と自分で自分の認知状態を観察する作業『メタ認知的モニタリング』です。

一方、モニタリングで得た情報とメタ認知的知識から、自分の行動や戦略の改善を試みます。

「次はこうしてみよう!」と自分自身で行動へつなげる作業『メタ認知的コントロール』です。

例えば、

「このときのディフェンスの対応はどうしたらいいんだろう?」と困っているとします。「自分ではわからないからコーチに聞いてみたらわかるかもしれないな」と認知・発見することが=【メタ認知的モニタリング】

そして…

「一人で解決せず、試合が終わってからまずコーチに聞いてみよう!」と戦略を考え・実施することが=【メタ認知的コントロール】

このように、自分の身におきた対象に、人に言われてではなく、自分で気づき・考え・行動する力が「メタ認知的活動」です。

わたしは長年、教育現場やサッカーの現場でたくさんの子どもたちと関わってきましたが、最近なかなかこのような子どもはいませんね。「自分で気づき→解決しようと行動できる子ども」は希少です。

この「メタ認知的活動」が身についてくると、経験のない問題や課題に対面したときでも、適切に解決方法を模索できるようになります。

「メタ認知的活動」とは、自分自身の気づき・観察=モニタリングから、どうしたら解決できるか行動や戦略を立て試みる=コントロールの一連の活動を言います!

「メタ認知的知識」と「メタ認知的活動」の関係

「メタ認知的活動」の多くは、「メタ認知的知識」に基づいて行われています。

例えば

『一度に多くのことを言われても覚えられない』(経験からわかること)といった認知特性を知っているから【知識】
                  ⇓
『それならメモをとろう!』(モニタリングとコントロールを働かせ)という対策が考えられる【活動】

「メタ認知的知識」をもとに、「メタ認知的活動」が行われます!

「メタ認知能力」はいつごろから身につく?

この「メタ認知能力」はいつごろから身につくのでしょうか?

メタ認知は、「ある」「ない」といった性質のものではありません。メタ認知は、すべての人がもっているものです。

当然、4歳の子どものメタ認知と、30歳の人のメタ認知にはレベルの差があります。

年齢が上がるにつれ多くの「経験」を通してメタ認知能力が身についていくからです。しかし、同じ30歳でも差は出てくるでしょう。

このようにメタ認知は「レベル感」があるものなのです。

メタ認知が発達する年齢は10歳ぐらいからと言われています。

例えば、

「4歳児に10個のことを覚えさせます。しばらくしてから確認してみると3個しか覚えていません。幼児の段階では、自分で自分の記憶を正確に把握できないのです。つまり、『メタ認知』が発達していないことが原因です。しかし、10歳くらいになってくると、覚える方法を工夫したり、自分で確認したりするようになってきます。これがメタ認知の発達す」

もちろん個人差はありますが、「主観」中心の低学年の子どもから、中学年あたりになると「客観的思考力」が備わってきます。これが「メタ認知能力」へとつながります。

ただし、複数の研究から、「幼児期にもメタ認知の原型と呼べる能力が育まれる」ことが分かっています。

このことを踏まえると、幼児期からメタ認知が育まれるような環境は整えておくべきだと言えるでしょう。

ここで言う「環境」とは、「もっとも近しい大人」。つまり『親』です。

幼児期から、いかに親子の関わりの中で、子どものメタ認知を促進することができるかが、この先に影響を及ぼします。

「メタ認知能力」が発達してくるのは10歳ぐらいからですが、幼児期からメタ認知が育まれるようなアプローチをしていくことが重要です!

「メタ認知能力」が身につくとどうなる?

これまで「メタ認知能力」とはどのような力なのかを解説してきました。

「メタ認知能力」が高い人は、ビジネス・スポーツ・学習においてもより力を発揮し、高い成功を収めることができます。

それでは、いったいこの力が身につくと、どのような効果があるのでしょうか?

「メタ認知能力」が高い人の特徴

「メタ認知力」が高い人は、『心の中にいるもう一人の自分に問いかけ冷静に決断を下す』ことができます。

それは次の3つの力が備わっているからだと言えます。

  1. 自分を客観的に把握できる
  2. 自分を客観的にコントロールできる
  3. 自分で客観的な決断ができる

現在の自分の置かれている立場や状況を「客観的に把握」し、どのようにすればより良い方向に進めるか「客観的にコントロール」し、それらの根拠をもとに「客観的な決断」ができるのです。

前文でも紹介した、サッカー選手の本田圭佑さんを例にして考えてみましょう。

例)イタリアの名門チーム「ACミラン」への入団会見での発言

キャリアを左右するであろう「決断」の時、『自分はどうしたらいいんだろう?』と、自分の心の中にいるもう一人の自分に「問いかけ」、冷静に自分の大きなキャリアの道を決めました。

つまり、「自分を客観的に把握し」「自分を客観的にコントロールし」「自分で客観的な決断を下す」

これこそが『メタ認知能力』であります。

「メタ認知能力」が高い人は、常に冷静に自分の置かれている状況を把握し、コントロールし、決断を下すことができます!
そのため、より「成功を収めている人」には、「メタ認知能力が高い人」が多くいることがわかります。

「メタ認知能力」が高い子どもの6つの特徴

それでは「メタ認知能力」が高い子どもにはどのような特徴があるのでしょうか?

  1. 状況を把握する(気づき)=状況判断力・自己観察力
  2. 自分を分析する=自己分析力
  3. 具体的な目的や目標を考える
  4. 具体的な方法・計画を考える=問題解決力
  5. 実行する=決断力・実行力
  6. 自分を振り返る

子どもの「メタ認知能力」が高ければ高いほど、このような6つの思考・行動を自らの「経験」や「知識」をもとに進めることができます。

もう少し分かりやすくサッカーの例をもとに説明すると…

まずは、

①自分の置かれている状況・状態を自分自身で感じ取り、気づきます。

【シュートを外した場面】
「負けていて、試合の残り時間が少ない状況だったので…」

そして、その状況に応じて、

②「うまくいった」「うまくいかなかった」要因・理由を、今までの自分の『経験』や『知識』をもとに考えます。【自己分析を行う】

「焦って、軸足の踏み込みが浅かったな…」

その自己分析をもとに、

③「どうすればいいのか」、その『具体的な目的や目標』を考えます。

「まずは同点に追いつくために、次のチャンスでは必ずゴールを決める!」

その考えた『目的や目標』を、より実現化するために、

④今までの「経験や知識」と関連付けて、『具体的な方法や計画』、問題や課題を解決するための手段を考えます。【問題解決力】

「次は、軸足をしっかり踏み込んで、落ち着いてキーパーの位置をしっかり確認してからコースを狙おう!」

課題を実現・克服するために、

⑤課題解決のための具体的な方法を実行に移します。【決断力・行動力】

【再びチャンスが訪れる】
「踏み込み・キーパーの位置・コースを落ち着いて確認。よし!シュートだ!!!」

実行してみた結果がどうだったのか、

⑥『自己評価』を行い、「うまくいったこと」「うまくいかなかったこと」の「要因を振り返ります。

「今日の試合で、一回シュートをミスしたけれど、その後修正して、次は落ち着いてしっかりコースを狙ってゴールを決めることができたぞ!」

そして再び「改善」し、次に活かしていきます。

このように状況に応じた対応を、自らの力で考え、取り組み、改善していくことが「メタ認知」です。

コーチに言われて確認することもできますが、やはり「自分で考え」るからこそ、失敗でも成功でも、更なる自分につながり、自分の力となり、大きく成長していくのです!

また試合中は、野球のように1球1球セットに入るという場面がなく、瞬時に状況が変わるサッカーというスポーツにおいては、その都度、状況に応じて、自分で考え対応・打開していかなければなりません。

誰かに指示されてから動くようでは、状況がすぐに変わってしまい対応できません。

瞬時に、自分で考え、判断し、行動に移すという主体性が必要になります。

その力のもとが『メタ認知』になります!

「メタ認知能力」の高い子どもは6つの特徴があり、サッカー(スポーツ)においても、学習においても、生活全般において、自分自身の向上に大きく影響を及ぼす力となります!

「メタ認知能力」を高めるためには!

子どもの「成長」に欠かすことのできない力、『メタ認知能力』はどのようにして身につけ、高めていけばいいのでしょうか?

メタ認知が発達する年齢は、物事を客観視できるようになる10歳頃からと言われていますが(個人差はあります)、そのためには幼児期のうちからその土台作りを始めておかなければいけません。

つまり、「メタ認知能力」を身につけ、高めるためには、

  • 「幼児期」のうちに親の関わり方を中心に進める
  • 「10歳頃」からは、親の関わり+主体的に取り組む

このように、個人差はありますが、年齢や発達段階に応じて進めていかなければいけません。

幼児期のうちから親が上手くサポートしていけば、少しずつその姿勢や考え方が身につき、高学年にもなれば自分の力で取り組んでいけるようになります←『主体性』

幼児期で「メタ認知の土台」を作り ⇒ 積み上げ ⇒ 「メタ認知」の定着を図り ⇒ 「主体性」を身につける

"幼児期"における「メタ認知能力」を育むための【親】の関わり方5つ

「人に言われないと動けない」「人に言われたことだけをする」

これではいつまで経っても、自分で考えて行動する人にはなれなせん。

何事にも【主体性】をもって取り組むことができる力を、幼児期から身につけていくことが大切です。

そのためには、「メタ認知能力」を高める土台になる"幼児期"における【親】の関わり方にかかっていると言っても過言ではありません。

この時期の子どもに対して親の大切な役割の基本と言えるのは、日ごろの「声かけ」です!

ここでは、「声かけ」を中心とした、"幼児期"における「メタ認知能力」を育むための【親】の関わり方5つについて紹介します。

  1. 生活の「ルーティーン化」を図る
  2. がんばり(過程)を「具体的に褒める」
  3. 失敗やミスは「叱らず分析する
  4. 「質問」で自分の考えをもたせる
  5. 「ふりかえり」を行う

①生活の「ルーティーン化」を図る

幼児期の子どもは、生活全般において自分で考えて行動することはまだ難しいです。

それなら、できる限り自分で主体的に行動できるように親が導いてあげればよいのです。

そのためには、「いつ」「どこで」「何をすればよいか」を決めておく、つまり『生活のルーティーン化を図る』ことが大切です。

その都度、親が子どもに声をかけ促すのではなく、あらかじめ決め事を作っておくのです。

我が家の例をあげれば

①幼稚園から帰宅
②庭でボール遊び
③家に入り、手洗い・うがい・消毒
④おやつ・お母さんと会話(幼稚園の出来事を聞く・話す)
⑤近くの公園に遊びに行く(友だちと)

このように幼稚園から帰ってからの行動を決めておけば、何も言わなくても自分で動くことができます。

ちなみに庭でのボール遊びは、ドリブルなどサッカー遊びのメニュー表を作成していて、それを見ながら自分で決めて取り組んでいました。ついでに「ひらがな」や「カタカナ」を読む学習にもつながりますね!

定着を図るのが少し面倒であったり、共働きなどで上手く進めることができなかったりなどの理由で、結局なかなかルーティーン化を図れていない家庭もあるのではないでしょうか。

でも「幼児期の育成」は本当に大切です。

「自分で考えて練習してるの。すごいね!」
「あれ?家に帰ったら一番に何をするのかな?」
など、たくさん褒めたり、できていなければ、質問して促してあげたりしましょう。

毎日そういった声かけやサポートを積み上げていくと、いつの間にか生活のルーティーン化を図ることができるようになっています。

親は子どもに直接手をかけず、子ども自ら行動できるような工夫を考え、「生活のルーティーン化」を図っていきましょう!

②がんばり(過程)を「具体的にほめる」

実際に子どもがメタ認知的な思考を働かせ行動できたときは、必ず「褒めて」あげましょう!

ただし、ざっくりと「すごいね!」と褒めるのではなく、「何が」すごいのか。「具体的に褒める」ことが大切です。

例えば

「何に困っているかきちんとお母さんに伝えられてえらいね!」

「家に帰ったら言われなくても手洗い・うがいやってるね。すごいね!」

このように具体的に何が良いのか子どもにフィードバックしてあげることがメタ認知能力につながるポイントになります。

子どもの些細な行動を見逃さず具体的に褒めてあげ、子どもにフィードバックしてあげましょう!

③失敗やミスは「叱らず分析する」

子育ての中で、子どもに叱ることは多くあると思います。

しかし、メタ認知を育てるためには、ただ叱るのではなく、「なぜ」失敗やミスをしたのか子どもと一緒に「分析」をして考えさせることが大切です

分析するときは、まずは子どもが「どのようなことに対して」「どのように行動したのか」【確認】しましょう。

そして、「どうして失敗・ミスにつながったのか」その「理由・原因」を一緒に【分析】してあげましょう。

最後に、「次、同じ失敗・ミスを避けるためにはどうしたらいいか」その「具体的な方法」を一緒に【考えて】あげましょう。

つまり、

「失敗・ミス」を【確認】 ⇒ 「理由・要因」を【分析】 ⇒ 「具体的な方法」を【考える】

例えば

「食卓で水をこぼしてしまったとき」

この作業を少し時間をかけて、親子で一緒に取り組みましょう。その時に、決して親が一方的に話を進め、答えを言ってしまうと、子どものメタ認知能力を育むせっかくのチャンスを奪ってしまいます。気をつけましょう。

子どもが失敗やミスをしたときは、親は決して感情的になって叱らず、その「理由・原因」を一緒に【確認・分析】し、それから今後どうしたらいいか「具体的な方法」を一緒に【考えて】あげましょう!

④「質問」で自分の考えをもたせる

子どもに考えさせるための基本は、「質問」です。

この「質問」の方法こそが子どもの「メタ認知能力」を育むのに最適と言えるでしょう!

先ほど解説した、失敗やミスは「叱らず分析する」からでもわかるように、親からの「質問」を通して子どもに「考え」させ、導いています。

確かに、いちいち子どもに聞いていると手間と時間がかかります。

親が言ってしまった方が早くて楽です。

しかし、ここに子どもの大切な力を育むチャンスが隠されているのです。

少し、面倒で手間と時間と労力がかかりますが、「質問」の方法を通して、親が子どもの身になり、辛抱強く、丁寧に接していくことが子どもの「メタ認知能力」を育むことにつながります。

親にとって少し手間と時間と労力がかかり面倒なことかもしれませんが、一つ一つ丁寧に時間をかけて「質問」することで、子どもの「メタ認知能力」を育む土台を作り上げることができます!

⑤「ふりかえり」を行う

「メタ認知能力」を高めるには、自分の行動・思考について「ふりかえり」を行うことも大切です。

幼児期の子どもでは、なかなか自分で自分の行動や思考を「ふりかえる」作業はできません。

だからこそ、親が子どもに「ふりかえる」機会を作ってあげましょう。

それに合わせて大切なのは「タイミング」です。

できる限り、子どもの行動・活動が終わった直後に質問を投げかけ、頭の中で「ふりかえり」を行わせるのが効果的です。

親は子どもの行動・活動をしっかり観察し、その都度「ふりかえり」を行うことで、自分の行動・活動を客観的に見て考える力(メタ認知能力)が養われます。

"幼児期"における「メタ認知能力」を育むために親ができることは…

▶子どもにさまざまな「経験」の場を与えること!

▶子どもの立場にたって、「丁寧に」「辛抱強く」「質問」を中心に声かけをしていくこと!

「メタ認知能力」を高める方法3つ

幼児期を経て、物事を客観的に捉えられるようになる10歳ごろからの「メタ認知能力」を高める方法を3つ紹介します。

わたし自身、たくさんの子どもと生活をともにし、関わってきた中でわかることがあります。

それはだいたい小学生、中学年あたりから、物事を客観的に見れるようになってきます。(個人差はあります)高学年にもなれば、状況に応じて、自分で考えて行動できるようになります。

よく言う「しっかりしている子ども」ですね。

反対に、指示待ち、助言がないと行動できない子どももいます。

この違いは、家庭における子育てが大きく影響しています。

幼児期から親のサポートで培った力を土台にして、10歳あたりからは、子どもの自立に向けて「主体的に考え・取り組める」ようなサポートをしていくことが重要になってきます。

つまりこの年代あたりからは、親のサポートを受けながら、自分で「メタ認知能力」を高める取り組みを行っていきたいですね!

  1. 「セルフモニタリング」で課題抽出・克服
  2. 「瞑想」と「イメージトレーニング」で習慣化
  3. 「フリーライティング」で可視化

「セルフモニタリング」で課題抽出・克服

「メタ認知能力」を高める方法の一つ目は、「セルフモニタリング」で課題を抽出し克服することです。



「セルフモニタリング」とは、

「セルフモニタリング」=自分を客観的に見る(客観視する)こと

「セルフモニタリング」を通して、「課題」を認知する能力を高めることが「メタ認知能力」を高めることにつながります。

サッカー選手の本田圭佑さんの言葉を借りると、「もう一段上から"リトル自分"が自分をとらえるクセをつけていく」ことが必要です。

"クセ"をつけていくために実践すべきことが2つあります。

  • 自分の課題だと認識している部分と向き合うこと
  • 課題における状況や理由を分析すること

試合中に出た課題に気づき(認識)、「どうしてミスをしたのか」その状況や理由を自分で分析してみることです。

そして、この分析をもとに「どのようにすれば改善できるか」その具体的方法を考え行動に移します(コントロール)

これを繰り返すことで、少しずつモニタリング力を高めていくことができます

そのためには、ここでも親の役割が重要になってきます!

わたしはよく、高学年になった息子に試合後次のような問いかけをしました。

この作業こそが、子どもの「メタ認知能力」を身につけさせるきっかけとなります。

子どものプレーのミスや失敗に対して、「ダメ出し・叱責」していると「メタ認知能力」は育まれません。

「メタ認知能力」を身につかすための「問いかけ」を積み重ねていくと、いつしか試合中に、ワンプレーごとに自分自身で「セルフモニタリング」を行い、「コントロール」することができるようになります。

こうなればもう「メタ認知能力」が高まったと言えますね!

親が子どもの「課題」に対する問いかけを積み重ねることで、子どもは自分自身の力で「課題を認識」し「改善・克服」する力・姿勢が身につきます!それが「セルフモニタリング」です。

②「瞑想」と「イメージトレーニング」で習慣化

「メタ認知能力」を高める方法の二つ目は、「瞑想」と「イメージトレーニング」で習慣化を図ることです。

メタ認知能力が身についていない人は、意識的にモニタリングやコントロールができないため、「メタ認知を高める習慣化」を図ることが必要です。

その習慣化こそが、「瞑想」と「イメージトレーニング」です!

成功者には「瞑想」をする人が多いという話を聞いたことがあります。

これには根拠があり、瞑想やイメージトレーニングをすることで『脳がリセットされ癒され』、メタ認知能力が自然と高まるからです。

「瞑想」と「イメージトレーニング」の効果

「メタ認知を高める習慣化」を図るための「瞑想」と「イメージトレーニング」にはどのような効果があるのでしょうか。

  • 自分を客観的に見る能力が高まる
  • 未来の自分を明確に描ける能力が高まる
  • 脳がリセットされ、脳も身体も癒される
  • 集中力が高まる
  • 心が整い、落ち着いて生活ができる

これらすべての力は、サッカーが上達するのに影響を及ぼす力となります。

瞬時に展開されるサッカーの試合では、常に「頭と心」『冷静』に、自分や試合の「状態・状況」を『客観的に見る』ことが必要です。

「瞑想」「イメージトレーニング」から得られる力こそが、「メタ認知能力」であり、サッカーをするにあたって生かされる力となります。

それでは、どうやって「瞑想」と「イメージトレーニング」を行えばよいか、その方法について解説します。

「瞑想」の方法

「瞑想」によって、すべての考えを手放し、頭を空っぽにしてみましょう!

大切なポイントは、

自分をジャッジするのではなく、ただひたすら「呼吸」に意識を向けます!

  1. 静かでリラックスできる場所を選び、座って「呼吸」に意識を向けます。
  2. 自分の「呼吸」を観察することだけに意識を集中します。頭の中で何か考え事をしていると気づいたら、また「呼吸」に意識を向けます。(自分のことをジャッジする必要はありません)
  3. 「呼吸」に意識を向けて観察すると、自然と呼吸は深まって、同時に体の力みも取れていきます。思考によって乱れていた心も、静けさと共に落ち着きを取り戻していきます。
  4. まず、呼吸3回ぐらいから始めてみて、5分から15分ぐらいを目安に取り組んでみましょう。練習前や試合前なら3分ぐらいの短めの瞑想をすると心が整います。

朝や夕方などに、家で1日2回15分ぐらい「瞑想」する時間をとると、心が1日中整うと言われています!

「イメージトレーニング」の方法

「イメージ」の中で体験を繰り返してみよう!

大切なポイントは、

最高のパフォーマンスを「イメージ」すること!

  1. ゴールを明確にする(どのような結果を期待するのか、ゴールを明確にします)
  2. 静かに集中できる場所で行う(気持ちを落ち着かせて集中できる場所を選びます。家のソファ、就寝前の自室、移動の電車の中など、自分の世界に入れる場所を見つけます。何回も繰り返すことを考えて、複数の場所を見つけておくと良いでしょう)
  3. 五感をフルに使う(視覚、聴覚、体の感覚、味覚、嗅覚など五感をフルに使って、試合会場の広さや色、そこにいる人の数、聴こえてくる音や声、自分が感じている体の感覚、そのときの感情なども感じてみます。これを頭の中でイメージするだけです)

「瞑想」と「イメージトレーニング」をセットに行い、習慣化を図ることで、冷静に自分を客観視できる力(メタ認知能力)が身につきます!

「フリーライティング」で可視化

一日にやったことを「文字に起こす」ことで、可視化されふりかえりをしやすくします。

練習や試合後であれば、めあてにそって「流れやうまくいったこと」「修正点や課題」などをふりかえり、次につなげやすくすることができます。

頭の中だけで振り返るのも良いですが、思考を整理して、客観的に自分のことを見るのには、「文字に起こす」=『フリーライティング』はおすすめです。

いわゆる【サッカーノート】がその役目になりますね。

紙とペンをもって、練習や試合のふりかえりをやってみてください!

客観的に自分をふりかえることで、「メタ認知能力」が身につき高まります。

また、この「ふりかえり」を第三者に見てもらう!ことができればより効果的です。

自分を客観的に見た内容を、さらに第三者に客観的に見てもらい指摘してもらうことで、より客観視点を身につけるトレーニングになります。ただしこの第三者は、偏った見方をしない人がおすすめですね。

「フリーライティング」(書くこと)は、自分を客観的に見るので「メタ認知能力」が身につきます!【サッカーノート】などを活用して「メタ認知能力」を高めていきましょう。

まとめ

「メタ認知」の意味や高め方を知り、子どものうちから「メタ認知能力」を身につけ、高めていくことで、サッカーでも学習などにおいても大きな効果を得ることを解説してきました。

メタ認知能力とは、自分の思考や感情を客観的に把握する力

特に、サッカーというスポーツは瞬時に状況が変わります。コーチや選手の指示を聞いてから動いていては間に合いません。

そのため、常に自分の置かれている立場や状況を瞬時に、考え、捉え、判断し、行動に移さなければいけません。

つまり、客観的に思考する力、『メタ認知能力』が重要になってきます。

そのためには、まずは幼児期のうちから「メタ認知能力」を【親】の関わりを通して育んでいくことが大切です。

そして幼児期に培ったメタ認知能力を生かして、さらに主体的に発揮していけるようにサポートしていくことが必要です。

サッカーにおいても、学習においても、生活全般においても、

子ども自身が"主体的に考える力"を身につけ、

"自立したサッカー"

"自立した人間"

に向けてサポートしていきましょう!

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