「リフティングは必要?不必要?」「目的はなに?」「何の効果があるの?」といった話はよく耳にします。
「リフティングは必要ですか?試合にはほとんど関係ないと思うけど…」
「リフティングって必死にやるほど重要な練習でしょうか?」
「リフティングは試合にあまり関係ないからやらなくていいよ」
「リフティングの必要性や効果について知りたいです」
このように「リフティング」に関してさまざまな声があり、気になっている人も多いのではないでしょうか。
我が家の息子は、年長時に2000回リフティングすることができました。
ただ、わたしはリフティング2000回も必要ないと思っています。
「えっ!?」2000回もやっておいてどういうこと?
それは、リフティングの回数を目的にしていたのではなく、子どもが「どれだけできるか挑戦してみたい!」と言ってチャレンジした結果がこの記録だったからです。
また、息子は「リフティング」のおかげで、さまざまな力を得ることができ、その力は今にも生かされています。
この記事ではリフティングが本当に必要なのかその「目的」と、それがどれだけサッカーに活かされるのかその「効果」について解説します。
この記事を読めば、リフティングすることの「目的」が明確になり、「効果」について知ることができます。
- リフティングは本当に必要なの?
- リフティング練習をする「目的」や「効果」を知りたい!
という人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
リフティングを通してたくさんの力が身につき、何より『サッカーが楽しい!大好き!』になってほしいです!
なぜリフティングをするの?その「目的」
「リフティング」の必要性を問う話題は尽きません。
「リフティングをやっていてもサッカーはうまくならないぞ」
「リフティングはボールばかり見て視野が狭くなるからサッカーにはよくない」
「ボールを扱うテクニックの基礎はリフティングだ」
「リフティング100回できないと試合に出れないぞ」
「リフティングはどうやったらうまくなるのかな?」
「リフティング練習ってやる意味あるのかな?」
「リフティングはできなくていいってコーチが言ってた…本当に?」
「リフティングできないと試合に出してもらえない」
例えばですが、このような声・悩み一度は経験ないですか?
『いったいどれが正解なの?正しいの?』
悩ましいですよね…
わたし個人の見解は、どちらも答えにはなりません。
答えがないというより、そのようなことを考えません。
「何かをやっていることに意味のないことなんてない」と思っています。
「必要」だから「やる」 「不必要」だから「やらない」ではありません。
だからリフティングをしているなら、それはそれで意味のあることだと思います。
それではわたしが考えるリフティングとは?その目的について解説していきます。
リフティングは『遊び』
子どもは友だちと遊ぶときに、その遊びの必要性を考えて遊んでいるでしょうか?そのような子どもはいません。
ただ純粋に「楽しい」から遊ぶのです。
リフティングにも同じことが言えます。
「サッカーがうまくなる」「試合で活躍したい」という目的でリフティングをやるのではありません。
だから「リフティングができないと試合に出れない」なんてひどい話ですね。
そもそも「リフティング=サッカーがうまくなるための練習」ではなく、腕以外を使ってボールを落とさないという「遊び」の一環とわたしは考えています。
つまり、リフティングは「サッカーがうまくなるため」や「回数」が目的ではありません。
わたしが思うリフティングの「目的」は、
「楽しいからする」
「リフティングがうまくなりたいからする」
「色々な技や回数にチャレンジしたいからする」
といった『内発動機づけ』的な意味合いが含まれます。
どうしても親は子どもにリフティングができるようになってほしい(当たり前の気持ちですが…)ので、リフティング練習をさせます。
そして、「回数」という数字の結果ばかりが目的になってしまいます。それでは親子とも「楽しさ」がなくなり長続きしません。
リフティングが楽しくなってくると子どもは自然と「回数」が気になり出します。
「今日は〇〇回挑戦してみる!」「〇〇回できるようになったから見ててね!」など。
この目的は、リフティングそもそもの目的ではなく、リフティングを通して生まれた目的になります。
いや、目的というより子ども自ら取り組みたい、チャレンジしてみたい「目標」ですね!
「ボールを腕以外の体のすべての部位で扱うことが楽しい!」
こういった子どもの「気持ちや姿勢」を育みたいですね。これがわたしの思う一番のリフティングの目的です。
つまり、リフティングは『遊び』と言えるでしょう!
「遊び」=「楽しい」→楽しいからリフティングをする。
キャプテン翼の主人公「翼くん」が言う【ボールは友だち】はまさにこれですね。
「友だちと遊ぶ」=「ボールと遊ぶ」ですね!
このように捉えると、リフティングが必要か否かは関係なく、その答えはありません。
ブラジル在住30年のサッカージャーナリストの方に聞いた話…
「ブラジルでは特に改めてリフティングの練習をすることはない。「フッチバレー」と言って、ビーチバレーに似た遊びを子どもから大人まで、朝から日が暮れるまでずっとして遊んでいる。そのため体のすべての部位でボールを操るのが上手になる。もう曲芸ですね!」
(らいおんサッカールーム:大野美夏との「サッカー談義より」)
日本とは風土も環境も違えば、サッカーの歴史もまったく異なるブラジルですが、学ぶべきことはたくさんあると思います。
だからこそ、日本の子どもにもリフティングは課されたものではなく、またその必要性をはじめから大人が決めつけるのではなく、子どもにとって遊びの延長で楽しく取り組めるように親や指導者が工夫してすすめていくことが大切だと思っています。
わたしは基本、この考え・姿勢で息子と一緒によくリフティングをしました。(今でもリフティングをして遊んでいます)
だから息子は「リフティングもサッカーも大好き」です。あっ、わたしもです!
リフティングは「楽しい!」からする「遊び」と同じです。これがリフティングをする一番の目的です。ボールとたくさん遊んでいるから、後々さまざまな力が身についていくのです!
いろいろな「リフティング遊び」を工夫してみよう!
とは言ってもここはブラジルではなく日本です。「フッチバレー」も盛んではありません…
「子どもが遊びでリフティングなんかするかな?」
「結局、やらさないと子ども自らリフティングなんてしないかな」という声が聞こえてきそうです。
確かにその通りかもしれません。
それでは「工夫」してみましょう!
「リフティングが楽しい♪」と思えるように工夫をします。
人は「楽しい」ことに対しては、意欲的に主体的に取り組みます。
お父さんが「今日の目標は〇〇回な」と言って腕を組んで見られていては、子どもは絶対楽しくはできません。
何でもそうですが、はじめから「できない…」と思ったり、決めつけていたりすると当たり前ですが何もできません。
まずは色々と「試行錯誤」してみましょう。たとえ一つのやり方が上手くいかなくても、また次のやり方を考えてみましょう。
これが我々、親や指導者の役割です。
リフティング練習も同じです。子どもが楽しく取り組めるように「工夫」し「考える」のが親や指導者の役目です。
実際に色々と工夫されている親御さん、指導者さんはいます。
例えばあるお母さんは、ご自身もリフティングを始めて子どもと回数を競っています。このようなお母さんわたしの周りにおられます。
このお母さんのように「子どもと競争」することで、子どもの内的動機づけになります。
やはり子どもは「ゲーム的要素」「競争的要素」が加われば、興味・関心が増してきます。
わたしが実際に息子とリフティングで遊んでいた例を一つ紹介します。
まだ息子が幼稚園の頃、つまりリフティング初心者です。
・息子は何バウンドしようがOK!何回タッチしてもOK!とにかくボールが転がらなければOK!苦しくなったら途中、手(アイテム)を使ってもOK!
・それに対してわたしは、必ずワンバウンドまでにボールをリフティングして返さなければダメ!
・グリッド(枠)はナシ!
・先に5回勝ったらOK!
息子の蹴ったボールがどこに飛んでくるかわからないから、ワンバウンドまでに息子に返すのが難しく苦戦しました(笑)
少しずつうまくなってきたら、手を使うアイテムはナシにするなど、その実態に応じてハンデを加えたり、工夫したりします。
もう一つ紹介します。息子が高学年のころ、友だちとよくしていたリフティング遊びです。
・約5mのエリアを4等分し、それぞれのエリア「天」「大」「中」「小」に一人ずつ入る。
・腕以外ならどこを使ってもOK!
・ワンバウンドまでにリフティングをしてどこかのエリアに落とす。(タッチ数は自由)
・ミスすればエリア交代「天」→「大」→「中」→「小」→「外と交代」
相手がリフティングしにくいように、「頭」で叩きつけたり、急にワンタッチで返したり、色々と遊びながら作戦・工夫を加えます。
このように「工夫」次第で、楽しくリフティング遊びができます。
特に、はじめのうちはこのようなリフティングっぽい遊びをするのが一番です。
「楽しく」なれば「好き」になります。「好き」になれば「自分から進んで取り組む」ようになります!
「リフティング=遊び」になる工夫を考え、子どもが「楽しく」取り組めることが大切です!
また、他にも実際、息子や子どもたちがやっている「リフティング遊び」があります。また別の記事で紹介できたらと思います。楽しみにしていてください!
リフティングをするとどんな力が身につくの?その「効果」
「ボールは友だち」「ボールとたくさん遊んでいる」と、自然とさまざまな力が身についてきます。
リフティング遊びを通して、たくさんの力を身につけましょう!
以前、別の記事で紹介した遊び『鬼ごっこ』が、サッカーに通じるさまざまな力が身につくことを解説しました。それと同じですね。
リフティングを通して得られる力はたくさんあります。
今回はその中から4つ厳選しました!
- 成功体験から得られるもの
- ボールコントロール
- ボディバランス
- 空間認知力
それではリフティングを通して得られる力、つまりリフティング「4つの効果」について解説していきます。
これらの力は、年長でリフティング2000回できた息子の現在のサッカーにも大きく活かされています。
①成功体験から得られるもの
リフティングを通して得られる一つ目の力は、『成功体験から得られる力』です。
「主体性」「自信」「自己肯定感」「向上心」「継続する力」…など。
成功体験から得られるものはたくさんあります。
それは、リフティング練習は一番効果が分かりやすいからです。
つまり、結果が数値化され単純明確であるためです。
例えば、昨日までは10回だったのが、20回もできるようになれば、子ども自身うまくなっているのが目に見えて分かります。
そこから「成功体験」を得ることができるのです!
こつこつと積み上げてきたがんばりが、結果として明確に表され、「できた!」という「達成感」を味わうことができます。
この達成感が、次への「意欲づけ」になりがんばり続けることができます。
このような成功体験を積み重ねると、やがて「自信」となり、「自分はできるんだ!」といった「自己肯定感」も育まれます。
そうなればさらに「楽しく」なり、「主体的」に取り組むようになります。そして「もっとうまくなりたい!」という「向上心」が出てくるようになります。
我が家の息子も、はじめうちはリフティングを一緒にして遊んでいるだけでしたが、少しずつできるようになってくると「〇回できるようになったから見て!」と言って自然と回数を気にするようになっていました。
また、リフティングには「自信」があるので、新しいチームや練習体験に行ったときは、すぐにリフティングをしてアピールしていました。これでつかみはOK!的な感じでしたね(笑)
リフティングを通して得た「成功体験の積み重ね」がさまざまな精神的要素の育みにつながります。
リフティングの「成功体験」から、「達成感」「意欲」「自信」「向上心」「主体性」などたくさんの力を得ることができます!
②ボールコントロール
リフティングの効果は、「精神的要素」だけでなく、もちろん「技術的要素」も養われます。
リフティングを通して得られる二つ目の力は、『ボールコントロール』です。
そもそもリフティングは、体のあらゆる部位を使って、ボールを地面に落とさないようにするものです。
地面に落とさないようにするためには、「ボールをうまくあやつる」必要があります。これが「ボールコントロール力」につながります。
つまり、
「リフティングはいろんな部位を使ってボールをコントロールする力を養う土台づくり」
になっています。
また、ボールをうまく落とさないようにするためには、「ボールコントロール」と「柔らかいタッチ」が必要になります。
タッチが強いとボールの方向は定まりません。
リフティングをたくさんしていると、「正確」で「柔らかい」ボールコントロールが身につきます!
リフティングがうまくなってきたら、体のいろいろな部位を使ってやるとより実践的になります。
例えば、「インサイド」「アウトサイド」「もも」「むね」などです。
「あたまに乗せたり」「肩であやつったり」するのも楽しいですよ!曲芸みたいで。
我が家の息子は、よく披露してくれます。
「これ試合でいるんかな?」とふと思うこともありますが、
①本人が楽しく主体的にやっている!
②ボディコントロール、つまりボディバランス力にもつながっている!
ということで自由にやらせています。
また、その場で止まった状態ではなく「ステップを踏みながら」「少し動きながら」することで、より実践向きになります。
わたしも息子との練習でよくアップ時で行っています。
これもいろいろなパターンがあります。また別の記事で紹介できたらと思います。
小さいころからリフティング遊びをやっていると、「感覚的」にボールをコントロールできるようになります。
息子は高学年になってからは「リフティングの練習」といったものは特にしていません。(アップや遊びではしていますが)
ほとんど練習していなくても以前と変わらずボールコントロールできます。これは「感覚的」な力が身についたと言えるでしょう。
リフティングは、体のいろいろな部位を使ってボールをコントロールする力が身につきます!
③ボディバランス
リフティングを通して得られる三つ目の力は、『ボディバランス』です。
リフティングをしているときは、必ず片足立ちの状態になります。そのため、常に「軸足」でバランスを取ることが必要です。
この片足立ちの状態こそが、サッカーのキックやドリブルなどをするときに必要な姿勢(ボディバランス)になります。
サッカーは、あらゆる種類の動きを強度に行いながら、キックやドリブルなどをします。当然そのような動きの中から、「片足立ち」になることがたくさんあります。
そのときに、うまく自分の体のバランスを取らなくてはいけません。バランスが悪いと、安定してボールを蹴れないし、うまくボールを運ぶこともできません。
このように「バランス感覚」はサッカーのすべての技術において必要です!
つまり、
「リフティングは片足立ちの時間を自然につくり、ボディバランス感覚を養う土台づくり」
になっています。
リフティングはこなす回数が多ければ多いほど、片足立ちでバランスを取る時間も増えます。
また、先ほどのボールコントロールでも説明したように、「動きを入れたリフティング」を行うことで、実践により近いボディバランス力を養うことができます。
息子とのリフティングで、意図して「ボディバランスを重視」したリフティング練習を行っています。(息子にもその意図を伝え・理解させておくことも大切です)
例えば、片足のちょんリフです。
*ちょんリフ…「ちょんちょんリフティング」=足の先でボールを持ち上げるようなイメージのリフティング
練習のアップ時に、左右それぞれ100回のちょんリフをしていました。しっかりと片足でバランスをとらないと、体がフラフラとぶれてしまいできません。
(*ちょんリフをするときは、前かがみになり過ぎないように「姿勢」に気をつけましょう)
他にもより実践に近い動きの中で工夫したリフティングをすることで、ボディバランス力を養うことができます。
これらのトレーニングもいろいろあります。また紹介したいと思います。
たくさんリフティングをしていると、自然と「ボディバランス力」が養われます!
④空間認知能力
リフティングを通して得られる四つ目の力は、『空間認知能力』です。
「空間認知能力」…。少し難しい言葉ですが、簡単に言うと「空中にあるボールをうまく正確に捉える能力」です。
リフティングでは、落ちてくるボールをうまく・正確にコントロールする必要があります。
そのためには、ボールが空中に浮いているときに、「どこに落ちてくるのか」落下地点を素早く予想し、浮いたボールに対してどのタイミングで足を出せばいいのか瞬時に判断しなければいけません。
リフティングはボールを落とさないようにコントロールするスキルが必要ですが、あわせて
「浮き球のボールをうまく・正確にコントロールするために必要な空間認知能力の基礎の部分を養う」
ことができます。
サッカーでは、ロングパスや上から落ちてくるボール、ヘディングシュートやヘディングでクリアするときなど、より早く・正確に落下地点を認知する必要があります。
このようなサッカーの場面において、リフティングを通して得られた「空間認知能力」が役立ちます。
空間認知能力は、ボールコントロールと同じように小さいころから積み重ねていると、「感覚的」なものになります。
野球選手はボールがバットに当たり空間に出た瞬間に、ボールの落下地点を把握することができます。(わたしも小学生のころから野球もやっていたので今でも、すぐに打球の行方がわかります)
これは「感覚的な力」になっていると言っていいでしょう。
「空間認知能力」を養うために、息子とのリフティング練習で意図してメニューに取り入れて行っていました。
例えば、後ろ向きで立ち(息子)、手をたたく合図とともに振り返り、少し高めに上がったボールを処理(リフティング)する練習です。
わざといろいろな方向に蹴り上げることで、瞬時に落下地点を認知する必要が出てきます。
「認知」→「コントロール」+「ボディバランス」の力を養うことができます。
リフティングは、空中に浮いているボールの落下地点や落下速度を瞬時に把握する「空間認知能力」が養われます!
まとめ
リフティングを通してさまざまな力が得られることを解説してきました。
- 成功体験から得られるもの(達成感・意欲・自信・自己肯定感・向上心・主体性…など)
- ボールコントロール
- ボディバランス
- 空間認知能力
でも、はじめのうちはこれらの力を得る目的でリフティング練習をするのではなく、まずはリフティングで遊んでください。
リフティングの目的は「遊び」です。
ボールを体のあらゆる部位でコントロールする、あやつることを楽しんでください。
【ボールと友だち】になってください。
そうすれば、「リフティングは楽しい!」「もっといろいろ挑戦したい!」といった『心からの声』が出始めます。
それが、自然とサッカーに必要なさまざまな力に活かされ、『サッカーが大好き!』になることでしょう。
しかし、リフティングをして遊ぶと言っても…
なかなか今の社会において、遊び場の減少や、親子共々慌ただしい日々の中、時間と心の余裕がなくなっているのが現状です。
そういった状況の中でも、親や指導者が色々と「試行錯誤」し、「工夫」を考え出し、取り組んでいけたらいいですね。
すべては子どもたちのために…
「リフティング」という「遊び」を通して、『サッカー大好きっ子』をたくさん増やしたいですね!